雲南 プーアル かもめの天空農園 ナチュラル ダブルファーメンテーション

¥1,600
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内容量

200g

生産地情報

国:中華人民共和国

標高:1700

エリア:雲南省 プーアル市 ランソー

品種:カティモール

生産処理:嫌気性発酵 ダブルファーメンテーション

生産者:天空農園 農園管理者 曾(ソウ)さん


発酵によって生まれる複雑な香り

梅のようなフレーバーが印象的です。リキュール感も相まって、どこか梅酒のような印象を受けます。フレーバー以外に目を向けても、柑橘系の明るい酸、程よく重さを感じるボディ感や甘味など、コーヒーとしての味わいのバランスもとれています。

明るさのある酸味が味わいに厚みを持たせ、印象的なフレーバーだけにとどまらない楽しみを提供してくれます。

カッピングプロファイル

stone-fruits(核果;中心に固い大きな種のある果物(桃、あんず、さくらんぼ)), winey, citric, ume,complex, bright, good-body 

焙煎度

中煎り

 酸 ○ ○ ● 〇 〇コク・ボディ

まるで東南アジアな気候と民族の多様性

雲南省があるのは中国大陸の西南部、ミャンマーとラオス、ベトナムと国境を接し、様々な民族が暮らす多様性あふれる地域です。日本から上海を経由して雲南省へ向かいました。まだひんやりとした寒さの残る3月上旬、日本とそれほど気候の変わらない上海、そこから飛行機で4時間ほどをかけてたどり着いたのが雲南省の空の港、シーサンパンナという街でした。空港の外へ出てみるとじめっとした暑さを感じ、まるで東南アジアの国にいるかのような気候でした。
ミャオ族にタイ族、イ族……街を歩けばきらびやかな民族衣装を着た人々に目を奪われます。「花の髪飾りを付けてキラキラとした衣装を来ているのはタイ族、青と黒が特徴の衣装にかつらのような髪飾りを付けているのはイ族、ミニスカートに前掛けをしているような衣装はミャオ族だよ」案内してくださった現地パートナーの曾さんが教えてくださいました。ちょうどその日は日曜日、たくさんの人々がそれぞれの民族衣装を身に着けて街の市場へお出かけをしていてとてもにぎやかでした。国境の街ならではの様子がそこにはありました。 

曾さんと「かもめ」の名前に隠された意味

私たち海ノ向こうコーヒーの現地パートナーになってくださっているのが曾さんです。日本人の父親と台湾人の母親のもとに生まれた曾さん、日本にもルーツを持つ台湾人で若い頃には日本の企業で働いたこともあったそうです。「若い頃に2,3年日本で働いたこともあったけれど、なんとなく日本社会が合わなくてね……結局台湾に戻ろうと決めたんだ」。その後、台湾の不動産関連の会社の駐在員として雲南省に赴任したのが、この地と曾さんの出会いのきっかけでした。土地の調査で雲南省のプーアル市を訪れた曾さんは、そこでお茶やコーヒーが栽培されているのを初めて知ったそうです。コーヒーの農家さんを訪ね歩き気づいたことは農家さんはコーヒーを全く飲まないということ。当時の中国のコーヒーの流通では、生産されるコーヒーのほとんどが王手のコーヒーチェーンへ流れていくのが主流でした。上海などの都市部ではコーヒーの消費も右肩上がりの状態。

これからは地方都市でも消費が伸びるだろうと、中国国内のマーケットへ参入の可能性を感じた曾さんは、品質の高いスペシャルティコーヒーをつくり雲南省で雲南のコーヒーを広めていこうと動き出しました。雲南のコーヒーがそこからいろんなところへ飛び立って行ってほしいという想いと、台湾から飛び込んできた自分の姿を「かもめ」の姿に重ね、自らの農園に「かもめの天空農園」と名付けたそうです。農園や加工場を管理すると同時にプーアル学園のコーヒー学科で教鞭をとり、次の世代の生産者の育成にも力を入れています。「プロセスで大事なのは水と空気、温度、時間。発酵ひとつでウォッシュドでも甘さとコクが出るんだよ。乾燥も乾燥用のテーブルで乾燥させて見たり、地面でやってみたり、乾燥機でやってみたり、いろいろ実験してみている。新しく取り組み始めた産地、易武(イーウー)はパナマやコロンビアの気候に似ている。いいコーヒーが採れるはずなんだ。ゲイシャにパカマラ、SL、カトゥアイ……いろんな品種を植えてみようと思っているんだ。」と、夜がふけるまで曾さんのコーヒー話は尽きませんでした。

パートナーシップを大切に

曾さんは各地域の農園の近くにある加工場とパートナーシップを結んで加工にも力を入れています。曾さんのコーヒー生産の特徴は、農家さんや加工場との連携が上手なこと。日々のコミュニケーションのもと協働して毎年設備にも改善を加え、大掛かりな発酵用のタンクを導入したり、乾燥機の攪拌用のプロペラにも均等に乾燥できるよう工夫を加たり、シェイドドライようのハウスやアフリカンベッド、パティオなどマイクロロットを生産できるよう様々な乾燥工程に取り組めるような設備を導入しています。「なかなか時間も労働力もかかるんだけれど、お客さんの要望にこたえられるようなコーヒーをつくっていきたい。」と曾さんはいいます。高台から見渡せる乾燥場はまるで中南米の生産国を思わせるもののよう。その奥に雲南の山々を望む景色は圧巻です。そんな景色を後ろに、「いい景色だろ~、ここではいいコーヒーができるんだ」と自身に満ち溢れた表情でずっしりとかまえる曾さんの姿がありました。